中央大学 文学部 泉ゼミ (美術史美術館コース) ブログ

美術史美術館コースは、中央大学文学部フランス語文学文化専攻に設置されています。このブログは、日頃のゼミ活動を更新しています。

ようこそ、泉ゼミ・ブログへ。
ゼミは3、4年生で構成され、2年間で、フランスを中心とした西洋美術史、美術館や文化遺産の歴史や今日のあり方について学びます。
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このブログは、ゼミの紹介がメインです。
ゼミ活動のまとめは、上のメニューバー「ゼミについて(毎年更新)」をご覧ください。
大学のゼミってどんな活動をするの? 文学部のゼミでどういうことを学ぶの?
そういうことを知りたい方に、うちのゼミの様子をお伝えできればと思います。

カテゴリ: 授業

2022年度のゼミは、対面が完全復活です。
今年度の3年生は、コロナ禍の影響をもっとも受けた学年ですので、美術館に出かける機会をできるだけ増やしたいと思いました。前期は4月、5月、6月に3回の美術館見学会を企画しました。
後期は、学内の図書館ツアーライティングラボのツアーを実施するとともに、見学先は文化遺産や建築に関連する場所を選ぶようにしています。今年はアーティゾン美術館で「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」が開催されましたので、まさにうってつけの見学先でした。


前期の学び(オンライン授業中)
前期はゼミ生どうしが互いのことを知り合うきっかけになればと思い、「自分にとって1枚の絵画」と題して、これまでの自分自身の体験を交えて、1枚の絵画について語ってもらいました。
3年生から、マリー・ドニーズ・ヴィレール、クリムト、シャガール、マリー・ローランサン、ゴッホ、ピカソ、ツタンカーメンの棺形、オットー・ディックス
4年生から、ダヴィッド、フェルメール、『勝利は我に(星条旗よ永遠にの巻)』1943年の映画、ミュシャ、コロー、モネ、ミケランジェロ
学生のみなさんが、どういうきっかけで芸術作品に触れ、印象づけられたのかがよく分かりました。

前期の見学会
「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」森美術館 
「ボテロ展 ふくよかな魔法」Bunkamuraザ・ミュージアム 
「クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”」21_21 DESIGN SIGHT 
Chim↑Pom展は教員が選び、あとの2つの展覧会は、3年生が中心となって見学したい展覧会をピックアップし、投票で決めました。

後期の見学会
「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」アーティゾン美術館を見学しました。

3年生のグループ課題(11~12月)
3年生は二つのグループに分かれ、「オペラ座展」見学会の事前学習として、以下の内容について発表しました。
①図録論文の内容紹介
グループ1「パリ・オペラ座と”総合芸術”ー音楽、美術、文学、舞台芸術の共振」
グループ2「パリ・オペラ座の歴史」
②序曲、第1幕、第2幕、第3幕、第4幕、エピローグの展示内容についての紹介
③各自が注目する作品を2~3作

事後学習では、
①事前に注目した作品をじっさいにみた印象
②展覧会で印象に残った作品
③アーティゾン美術館の感想
を語ってもらいました。

3年生による2022年度美術館見学会の総括
2022年度は前期3回、後期1回、合計4回の見学会を実施しました。4つの展覧会のなかで、一番印象に残っている展覧会をランク付けしてもらったのですが、1位は「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」でした。その理由として、以下のような感想がありました。
斬新で1番刺激的なアーティストだった。作品が面白かった。ゼミで取り上げるまで知らないアーティストだったので、知れて良かった。」
「展示自体が探検するようで楽しかったことと、現代アートの展覧会へはあまり行かないのでいい機会になったこと。」
今まで私は「現代アート=手段や表現方法が自由すぎて理解不能なもの」というイメージがあった。 しかし、この展覧会で作品の意図やChim↑Pomのスタンスを知ることができ、軽い気持ちで重いテーマを取り扱っていたり、奇抜な手段を取っていたりしているわけではないということがわかった。また、ゼミ生と「Chim↑Pomは何を伝えたかったのか」や「アートとは何か、アートなら何をしてもいいのか」といった議論を通して、理解を深めることができて楽しかった。」
「クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”」も人気があり、
歴史を映像資料や実物のモノに触れることで美術館では珍しい体験をすることが出来たのが印象強かったです。
という感想がありました。
またさらに、「展覧会に慣れたか」という問いで、優等生的な回答ではなく、率直な感想を求めました。
楽しみながら見ることができるようになった
ゼミで見に行くことは刺激になる
見ることのプレッシャーを感じなくなった
事前・事後学習で理解が深まった
様々な視点をもって見ることができるようになった
作品の特徴をつかめるようになってきた
「作品を理解出来ているか不安がある」という感想もありました。とはいえ、1年を通して、学生が確実に展覧会を楽しめるようになっていることは分かりました。大きな進歩です。

2022年度ゼミ生による「卒業論文」と「学年末レポート」のタイトル

4年生 卒業論文タイトル
ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの 唯美主義における思想と表現 ──イギリスジャポニスムの影響を通して」
ポール・ポワレと同時代の芸術──20 世紀モードに及ぼした影響」
フィンセント・ファン・ゴッホ──太陽に込められた独自の表現」
「戦時の上村松園──《晩秋》に描かれた女性の図像に関する一考察」
アルフォンス・ミュシャのポスター──パリ時代から『スラヴ叙事詩』制作に向けて」
カミーユ・ピサロ──19 世紀から 20 世紀の風景画」

3年生 学年末レポートタイトル(5000字前後)
「ファション界に革命を起こしたココ・シャネルにおける女性ファッションのスタイル確立」
エドワード・ホッパーが見たアメリカ──画風の確立とその背景」
ユベール・ロベール──18世紀の廃墟と時間」
「バルビゾン派画家コロー──彼の画風はどのようにして確立されたのか」
ジャン・シメオン・シャルダン──静物画の歴史を変えた男」
ダヴィンチの発明が現代の発明にどう影響されているか」
「19世紀フランスの装飾画家ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ──画風の変移と後世に与えた影響」
ハマスホイの室内画」

3年生「学年末レポート」、4年生「卒業論文の概要」、4年生「学生生活をふりかえって」をまとめて冊子にし、2022年度ゼミ活動の成果とします。

日時:2022年12月18日(日)午後
場所:アーティゾン美術館
https://www.artizon.museum/exhibition_sp/opera
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2022年度後期、ゼミ見学会は「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」に行ってきました。フランス美術と文化遺産を学ぶこのゼミにとって、アーティゾン美術館は、いつも豊富な知識と視覚体験を授けてくれる場所です。しかも、学生の入場料が無料という太っ腹です。展覧会は基本的にゼミ生が選びます。教員としては、1年を通して、絵画展だけでなく、文化遺産というものを総合的に学べることも、訪問する展覧会を決定するうえで考えています。

フランス国立図書館の協力のもと、パリ・オペラ座アーカイブの資料を中心に、17世紀から現代までを「総合芸術」的な観点からたどるぜいたくな展覧会でした。パリ・オペラ座が、アカデミックもアヴァンギャルドも、あらゆる芸術家たちを惹きつける磁場のような場所で、そこで生まれた芸術的遺産を堪能してきました。

19世紀フランス絵画では、マネの同じ主題の作品を二枚並べて観ることができる貴重な機会でした。
《ハムレット役のフォールの肖像》の2枚(1877年)
《オペラ座の仮面舞踏会》(ワシントン、ナショナル・ギャラリー)と《オペラ座の仮装舞踏会》(アーティゾン美術館)の2枚(1873年)

《フォールの肖像》は思ったよりもサイズが大きく、展示室に入ってこちらがドキッと驚いてしまうような、生き生きとした空気感が伝わってきました。《仮面舞踏会》と《仮装舞踏会》の2枚は、マネの試行錯誤が浮かび上がってきます。また、ドガの彫刻の3体は、観察しているうちに、同じポーズをしてみたい気分になるほど、作り手の鋭い洞察を感じました。

これほど多種多様な資料群をいちどに観る機会はそうありません。学生たちは事前学習を念入りにし、それぞれが注目作品をピックアップしていたので、展示の数に圧倒されることなく、楽しんでくれたと思います。
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日時:2022年6月26日(日)午後
場所:21_21 DESIGN SIGHT
http://www.2121designsight.jp/program/C_JC/
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2022年度前期ゼミ、見学会第3弾は「クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”」です。
この展覧会もゼミ生たちが選んだものです。猛暑の中、行ってきました。日差しの強烈さが集合写真から分かります。
クリストはこの凱旋門プロジェクトの完成を見ずして、2020年にジャンヌのもとに旅立ちました。夫婦の思いを引き継いだ人たちの奮闘ぶりがよく分かる内容でした。教員は会場内のビデオをすべて腰を下ろして見たので、ずいぶん時間がかかってしまいました。ついこの前、ある大学の授業で「ノートル=ダム・ド・パリ大聖堂の建造」に関するビデオを学生たちに見せたのですが、それを思い出しました。このプロジェクトは21世紀の文化遺産の創造にも思えました。ただし期間限定、一時のものです。だからこそ記憶のなかに生き続ける、ビデオのなかのドキュメンタリストがそうコメントしていたように思います。学生たちは何を思ったでしょうか。
今のゼミの3年生、4年生は、2年間のオンライン授業に我慢してきた世代です。みんなで楽しく見て、近くでお茶でもしていたようです。教員が展覧会を後にしたとき、ゼミのお茶はすでに解散したということでした。

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フランスの歴史を記念する凱旋門。ヴィクトル・ユゴーの国葬の時は、ここを通りました。その記念物が包まれて象徴的な意味を失ったとき、パリという都市のなかでどのように見えたでしょう。写真はもちろん残っていますが、本物を見たかったです。

日時:2022年5月29日(日)午前
場所:Bunkamuraザ・ミュージアム
https://www.ntv.co.jp/botero2022/
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2022年度前期ゼミ、見学会第2弾は「ボテロ展 ふくよかな魔法」です。
第1回は教員が提案した展覧会でしたが、第2回、第3回は、3年生それぞれが見学したい展覧会を選び出して発表し、そのなかから投票で2つを決めました。教員は学生時代にBunkamuraによく足を運びました。ボテロについては、ル・シネマでドキュメンタリーも上映されているようです。
今回は事前に課題を与えました。数名で言葉を交わしながら見たり、個人でイヤホン・ガイドとともにじっくり観察したり、時には教員が絵の前で少しコメントしたり、1時間30分があっという間に過ぎました。
美術史の教科書にまだ記されていない現代の芸術家ボテロについて、造形的な特徴、主題、美術史との関係について、グループワークで考えてもらいます。
当日は、30度を超える暑さでした。8名の学生たちとともに、戸外の木陰のテラス(ドゥマーゴではなく)でパスタを食べて、おしゃべりして解散。気持ちのよい昼下がりでした。(残念ながら写真を撮るのを忘れました。)
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こちらは美術館前のスペースに展示されていたボテロの彫刻。

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