中央大学 文学部 泉ゼミ (美術史美術館コース) ブログ

美術史美術館コースは、中央大学文学部フランス語文学文化専攻に設置されています。このブログは、日頃のゼミ活動を更新しています。

ようこそ、泉ゼミ・ブログへ。
ゼミは3、4年生で構成され、2年間で、フランスを中心とした西洋美術史、美術館や文化遺産の歴史や今日のあり方について学びます。
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このブログは、ゼミの紹介がメインです。
ゼミ活動のまとめは、上のメニューバー「ゼミについて(毎年更新)」をご覧ください。
大学のゼミってどんな活動をするの? 文学部のゼミでどういうことを学ぶの?
そういうことを知りたい方に、うちのゼミの様子をお伝えできればと思います。

カテゴリ: 授業

2024年度ゼミ生による「卒業論文」と「学年末レポート」のタイトル

4年生 卒業論文タイトル
ルドンが描く神話画──ノワールから色彩への変遷を通して」
葛飾北斎の画風の変遷──西洋は浮世絵師に何をもたらしたか」
ヴィルヘルム・ハマスホイの室内画──静謐さの分析」
エッシャーによる錯視作品の再考──版画技法の成熟とシュルレアリスム的要素」
ポール・シニャックの画法の変容──点描法からアナーキズム思想を辿って」
ドミニク・アングルの肖像画──肖像画から読み取る理想の美をひきだす要素」
ジョン・エヴァレット・ミレイのファンシー・ ピクチャーの美学──19 世紀美術における子ども像」
ニコラ・プッサンの舞台的な空間表現──17 世紀における物語表現の独自性」
オノレ・ドーミエの諷刺画──19 世紀フランス社会を映し出すまなざし」

3年生 学年末レポートタイトル
ギュスターヴ・クールベ──レアリスムのテーマとその影響」
カミーユ・コローの中期から晩年の作品──神話画と風景画の表現について」
クロード・モネ──モネの人物画」
アンリ・ファンタン=ラトゥール──静物画の特徴とその背景」
ポール・セザンヌ──林檎を描くことに人生をかけた画家」
ベルト・モリゾ──作品における自己表現」
エドガー・ドガ──人物表現と構図を中心に」

3年生「学年末レポート」、4年生「卒業論文の概要」、4年生「学生生活をふりかえって」をまとめて冊子にし、2024年度ゼミ活動の成果とします。

日時:2024年2月3日(土)午後
場所: DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市)
https://kawamura-museum.dic.co.jp/

ゼミの見学会はいつも東京圏内が多いのですが、今回は千葉県佐倉まで遠出しました。その目的地は、2025年4月から休館が予定されている、DIC川村記念美術館です。送迎バスに30分ほど乗って、現地に到着。
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そして忘れないうちに、集合写真を撮りました。
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入り口では、フランク・ステラのオブジェがお出迎え。
印象派から20世紀前半の名画の部屋では、オーディオ解説が充実しているので、学生たちはじっくり作品観察をしたことでしょう。そしてレンブラントの作品をへて、シュルレアリスム、抽象絵画、ジョゼフ・コーネルの箱、そしてロスコ・ルームへ。
2階の200展示室は個人的にお気に入りの部屋です。左右のガラス窓からニュアンスの異なる光が差し込み、その光のもとで展示作品を堪能できます。時間があればずっと過ごしていたい素晴らしい部屋です。ロスコ・ルームは外の光を取り込まず、赤の色彩が放つ光のみ。その対比が見事です。そして、フランク・ステラの絵画の変遷を追いつつ、最後に企画展「西川勝人 静寂の響き」をみて終了。

学生たちと庭園を散歩し、テラスでお茶をしました。
4年生にとっては、今回の訪問がゼミ最後の見学会となりました。一度は学生を連れて訪れたいと思っていたので、よい機会になりました。

写真は以前訪れた時、5月に撮影したものです。藤棚がとてもきれいでした。
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日時:2024年7月29日(月)~30日(火)
場所:大学セミナーハウス(八王子)
https://iush.jp/
今年は「大学セミナーハウス」に行ってきました。メインとなる本館は吉坂隆正の建築(1965年)です。外からみると逆三角形の建物です。中を見学しましたが、玄関口が1階だとすると、
中2階、2階、中3階、3階とでも言うような複雑な構造になっており、天井とサッシ窓から光が入ります。3階がもちろん一番広いセミナー会場です。各部屋の表示や階段の手すりなどは、昭和感があり、また学生たちは「お化け屋敷みたい」と、この建物内の暗さを表現していました。確かこの建物には「眼」があると聞いたことがあるのですが、それを写真に撮るのを忘れました。
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今年はゼミ旅行ではなく、ゼミ合宿です。その理由としては、昨今の就職活動は3月頃から本格的に始まり、前期は、特に4年生が卒論発表のためになかなか勉強に集中できません。そこで、夏休みに入ったばかりの7月末にゼミ合宿を実施しました。

就職活動がある程度落ち着いたら、4年生にとって今度は卒論が大切になってきます。卒論を書かなければ卒業できません。テーマが決まっていない学生は、後期に入ると焦り始めます。卒論のプレッシャーを避けるために今回の合宿があります。

学生ひとりにつき1時間のスケジュールを組みました。発表後、出席者全員がコメントし、質疑応答するなかでテーマが具体的になってきました。教員はそれらのコメントをまとめながら、ある程度の方向付けやアドバイス、資料紹介をしました。

当初、学生たちは「ひとりにつき1時間」について不安げな様子でしたが、あっという間で、実際は1時間以上かかりました。質疑応答を通して卒論のテーマが決まる良い機会になったと、言ってくれました。学生たちにとって、大きな収穫となる合宿になったと思います。夏休みを有意義に過ごしてくれるでしょう。

こんな森の中を通って、本館からセミナー室に向かいます。
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セミナー室と宿泊したさくら館
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夕食は18時~19時まで。八王子の森の中での合宿は快適でした。夕食後はベッドのある「さくら館」に移動し、学生たちは3時頃までおしゃべりしていたとか。合宿の目的は、卒論発表だけではありません。学生時代のよい思い出にして欲しいです。
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日時:2024年6月2日(日)午後
場所:東京国立近代美術館
https://art.nikkei.com/trio/

2024年度のゼミ生が選んだもうひとつの展覧会です。

パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のモダンアート・コレクションから、34のテーマのもとにトリオを組むというユニークな構成の展覧会です。日頃、ゼミでは比較を通した作品分析をよく行います。まさにうってつけの展覧会です。

総勢110名の作家が登場しますので、事前学習では、学生たちは、担当する章のなかで、自分の知らない作家について調べました。今回は絵画だけでなく、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像と多岐にわたる作品が展示されますので、「作家を知る」という意味でも勉強になります。

事後学習では、学生ひとりひとりが、34のテーマのなかからひとつを選び出し、発表形式でトリオの分析を試みました。今回の発表を通して、モダンアートの表現の多様性を知るとともに、広告、デザイン、写真といった身近な作品から、その魅力を楽しみながら学ぶ機会になったと思います。

個人的には、百瀬文《Social Dance》を初めて見たのですが、その映像の力に惹きつけられました。また、ヘンリー・ダーガーをとても楽しみにしていました。著作権の関係で図録に掲載がなかったのが残念でした。
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日時:2024年5月12日(日)午前
場所:SOMPO美術館
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/magic-north/

2024年度のゼミ生が選んだ展覧会のひとつです。
北欧関係の展覧会は、昨今、建築やデザインの分野で開催されました。ゼミでは数年前にアアルト展に行きました。今回は絵画作品の展示ということで、国立西洋美術館にアクセリ・ガッレン=カッレラの作品が近年収蔵されたはものの、国内で観ることのできる作品は限られていると思います。北欧の絵画を取り上げた企画展はめずらしいという意見が多くあり、選ばれました。

グループごとに担当セクションを決め、それぞれのテーマやキーワード、芸術家を把握したうえで、作品の考察を発表しました。
学生たちが感想として指摘したのは、
・北欧独自の文化や自然に根ざした絵画作品の発見
・館内のBGMによって、視覚だけでなく聴覚も楽しめた
・北欧の都市風景の静謐、北欧の自然風景の冷たさ
・北欧の神秘性とその変遷
・山や森の日本とは違う価値観
などです。
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