中央大学 文学部 泉ゼミ (美術史美術館コース) ブログ

美術史美術館コースは、中央大学文学部フランス語文学文化専攻に設置されています。このブログは、日頃のゼミ活動を更新しています。

ようこそ、泉ゼミ・ブログへ。
ゼミは3、4年生で構成され、2年間で、フランスを中心とした西洋美術史、美術館や文化遺産の歴史や今日のあり方について学びます。
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このブログは、ゼミの紹介がメインです。
ゼミ活動のまとめは、上のメニューバー「ゼミについて(毎年更新)」をご覧ください。
大学のゼミってどんな活動をするの? 文学部のゼミでどういうことを学ぶの?
そういうことを知りたい方に、うちのゼミの様子をお伝えできればと思います。

2023年02月

4年生の卒業を祝うために、泉ゼミでは久しぶりに飲み会を開催しました。今年の4年生は、美術館見学に行くことはできましたが、親睦を深める飲み会や夏合宿はコロナによって中止となりました。夏合宿を楽しみにしていたようで、実現できなかったことが悔やまれます。
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場所を変えて、女子だけで二次会
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4年生の数名からこのブログのためにメッセージをもらいました。美術史美術館コースの宣伝文です。

 
    「初めてのルーブルは なんてことは無かったわ」。宇多田ヒカルによる「One Last Kiss」の歌い出しです。完全に勉強不足だと思います。美術館に行って「なんてことは無かったわ」と思ったことのある方は、美美コースで、泉ゼミで、ぜひ学んでください。きっと美術館に行く度に、心動かされるようになりますよ。


    
    自分のやりたいことにどんどん挑戦していってほしいです。後悔しない学生生活をぜひ送ってください。



    
私がこのコースを選択する前、美術に関しての関心は世界史の知識程度、美術館に行くのは年に0~1回程度、このコースを選んだのも大学でしか学べないこと、つまり自分からは学ばないことを大学で学んだ方がいいかなと思って選びました。それと「学芸員」の資格も取ることができるのですが、なんとなく、持ってたらかっこいいからという理由で取りました。
    美術が好きだから選ぶ人もいれば、私みたいに関心がほぼゼロな人もいます。実際このコースに入って、興味の幅が広がりましたし、美術館に行くことも多くなりました。学びもたくさんあって、充実した学生生活を送れたと思います。
    美術がよくわからない、少し関心はあるけどついていけるかわからないという人でも大丈夫です。わからないことを知ろうとする探求心があってこそ大学に行くことの意義があると思います。視野を広げる為にも、娯楽を増やすという意味でも「美術史美術館コース」はおすすめです。


さらに、4年生による「学生生活をふりかえって」から一部抜粋します。コロナ禍の学生たちのリアルな姿が見えてきます。

 
    4年間の学生生活を振り返り、やってみたいことに挑戦することが大切だと感じました。
新型コロナウイルスが流行し授業がほぼリモートになり、ふと自身の学生生活を振り返ったとき、何もしてこなかったなと思いました。このまま卒業し社会人になってしまうことを想像し、不安を覚え、私はそれまで興味があったけれど尻込みしていたことや、ずっとやろうとしながら後回しにしていたことに手を付けてみることにしました。そうしたことで、自分は何が得意で何が苦手なのかを新たに知ることができたり、以前よりも成長したり、またコロナ流行でずっと暗かった気持ちが前を向いたりもしました。そのおかげで、今、自分の学生生活を振り返ると、とても満足な時間を過ごせたと感じます。



    
もともとアクティブな方ではないし、この4年間で、自ら進んで「交友関係を広めよう!」と思って特別何かをしたこととかもなかった。そんな私でも、サークル、アルバイト、学部、ゼミなどを通して、それなりにいろいろな人に出会った。いろいろな人に出会って、彼らと交流していく中で、迷惑をかけたり、かけられたりしながら、彼らから新しい価値観を学んだり、自分の知らなかった一面に気づけたりした。


    
    サークルだけでなくて、ゼミも思いが強いです。リモートで顔が見えずに授業をしていた頃、美美コースの人たちは意識の高い人達が多いなって思っていて、プレッシャーに感じてました。泉ゼミ入って、知り合いがほぼいない中やっていけるか不安でしたが、段々ゼミに慣れてきて、3年の後期ぐらいには、毎週金曜日ウキウキしながら登校するほどゼミが大好きになってました。ほんとうです!!!!!「卒論どれぐらい進んでる!?」「まだなんもやってない泣」「よかった!!!私も!!!」ってゆるゆる過ごしてた日々が懐かしいです(笑)



    学生生活で学んだことは何かを辞めてしまっても失わないということだ。むしろ、辞めたらその分新しい何かが舞い込んでくる。最後までやり遂げることが良いことだという思い込みは、もう無い。こう考えれば、社会人生活もやっていけそうだ。

2022年度のゼミは、対面が完全復活です。
今年度の3年生は、コロナ禍の影響をもっとも受けた学年ですので、美術館に出かける機会をできるだけ増やしたいと思いました。前期は4月、5月、6月に3回の美術館見学会を企画しました。
後期は、学内の図書館ツアーライティングラボのツアーを実施するとともに、見学先は文化遺産や建築に関連する場所を選ぶようにしています。今年はアーティゾン美術館で「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」が開催されましたので、まさにうってつけの見学先でした。


前期の学び(オンライン授業中)
前期はゼミ生どうしが互いのことを知り合うきっかけになればと思い、「自分にとって1枚の絵画」と題して、これまでの自分自身の体験を交えて、1枚の絵画について語ってもらいました。
3年生から、マリー・ドニーズ・ヴィレール、クリムト、シャガール、マリー・ローランサン、ゴッホ、ピカソ、ツタンカーメンの棺形、オットー・ディックス
4年生から、ダヴィッド、フェルメール、『勝利は我に(星条旗よ永遠にの巻)』1943年の映画、ミュシャ、コロー、モネ、ミケランジェロ
学生のみなさんが、どういうきっかけで芸術作品に触れ、印象づけられたのかがよく分かりました。

前期の見学会
「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」森美術館 
「ボテロ展 ふくよかな魔法」Bunkamuraザ・ミュージアム 
「クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”」21_21 DESIGN SIGHT 
Chim↑Pom展は教員が選び、あとの2つの展覧会は、3年生が中心となって見学したい展覧会をピックアップし、投票で決めました。

後期の見学会
「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」アーティゾン美術館を見学しました。

3年生のグループ課題(11~12月)
3年生は二つのグループに分かれ、「オペラ座展」見学会の事前学習として、以下の内容について発表しました。
①図録論文の内容紹介
グループ1「パリ・オペラ座と”総合芸術”ー音楽、美術、文学、舞台芸術の共振」
グループ2「パリ・オペラ座の歴史」
②序曲、第1幕、第2幕、第3幕、第4幕、エピローグの展示内容についての紹介
③各自が注目する作品を2~3作

事後学習では、
①事前に注目した作品をじっさいにみた印象
②展覧会で印象に残った作品
③アーティゾン美術館の感想
を語ってもらいました。

3年生による2022年度美術館見学会の総括
2022年度は前期3回、後期1回、合計4回の見学会を実施しました。4つの展覧会のなかで、一番印象に残っている展覧会をランク付けしてもらったのですが、1位は「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」でした。その理由として、以下のような感想がありました。
斬新で1番刺激的なアーティストだった。作品が面白かった。ゼミで取り上げるまで知らないアーティストだったので、知れて良かった。」
「展示自体が探検するようで楽しかったことと、現代アートの展覧会へはあまり行かないのでいい機会になったこと。」
今まで私は「現代アート=手段や表現方法が自由すぎて理解不能なもの」というイメージがあった。 しかし、この展覧会で作品の意図やChim↑Pomのスタンスを知ることができ、軽い気持ちで重いテーマを取り扱っていたり、奇抜な手段を取っていたりしているわけではないということがわかった。また、ゼミ生と「Chim↑Pomは何を伝えたかったのか」や「アートとは何か、アートなら何をしてもいいのか」といった議論を通して、理解を深めることができて楽しかった。」
「クリストとジャンヌ=クロード”包まれた凱旋門”」も人気があり、
歴史を映像資料や実物のモノに触れることで美術館では珍しい体験をすることが出来たのが印象強かったです。
という感想がありました。
またさらに、「展覧会に慣れたか」という問いで、優等生的な回答ではなく、率直な感想を求めました。
楽しみながら見ることができるようになった
ゼミで見に行くことは刺激になる
見ることのプレッシャーを感じなくなった
事前・事後学習で理解が深まった
様々な視点をもって見ることができるようになった
作品の特徴をつかめるようになってきた
「作品を理解出来ているか不安がある」という感想もありました。とはいえ、1年を通して、学生が確実に展覧会を楽しめるようになっていることは分かりました。大きな進歩です。

2022年度ゼミ生による「卒業論文」と「学年末レポート」のタイトル

4年生 卒業論文タイトル
ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの 唯美主義における思想と表現 ──イギリスジャポニスムの影響を通して」
ポール・ポワレと同時代の芸術──20 世紀モードに及ぼした影響」
フィンセント・ファン・ゴッホ──太陽に込められた独自の表現」
「戦時の上村松園──《晩秋》に描かれた女性の図像に関する一考察」
アルフォンス・ミュシャのポスター──パリ時代から『スラヴ叙事詩』制作に向けて」
カミーユ・ピサロ──19 世紀から 20 世紀の風景画」

3年生 学年末レポートタイトル(5000字前後)
「ファション界に革命を起こしたココ・シャネルにおける女性ファッションのスタイル確立」
エドワード・ホッパーが見たアメリカ──画風の確立とその背景」
ユベール・ロベール──18世紀の廃墟と時間」
「バルビゾン派画家コロー──彼の画風はどのようにして確立されたのか」
ジャン・シメオン・シャルダン──静物画の歴史を変えた男」
ダヴィンチの発明が現代の発明にどう影響されているか」
「19世紀フランスの装飾画家ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ──画風の変移と後世に与えた影響」
ハマスホイの室内画」

3年生「学年末レポート」、4年生「卒業論文の概要」、4年生「学生生活をふりかえって」をまとめて冊子にし、2022年度ゼミ活動の成果とします。

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