中央大学 文学部 泉ゼミ (美術史美術館コース) ブログ

美術史美術館コースは、中央大学文学部フランス語文学文化専攻に設置されています。このブログは、日頃のゼミ活動を更新しています。

ようこそ、泉ゼミ・ブログへ。
ゼミは3、4年生で構成され、2年間で、フランスを中心とした西洋美術史、美術館や文化遺産の歴史や今日のあり方について学びます。
★★★★★★
このブログは、ゼミの紹介がメインです。
ゼミ活動のまとめは、上のメニューバー「ゼミについて(毎年更新)」をご覧ください。
大学のゼミってどんな活動をするの? 文学部のゼミでどういうことを学ぶの?
そういうことを知りたい方に、うちのゼミの様子をお伝えできればと思います。

オンライン授業が始まってそろそろ1か月がたとうとしています。公共美術館は相変わらず閉鎖中で、気分転換に行きたいと思っても、今のところ出来ません。ヨーロッパの都市ではロックダウンが解除され、博物館・美術館の再開予定のニュースもちらほら聞くようになりました。

日頃、情報収集でお世話になっている『美術手帖』のサイトでは、雑誌『美術手帖』2019年バックナンバーが無料で公開されています。いい機会ですので、ぜひ読んでみてください。
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/21931
期間は5月15日〜6月14日の1ヶ月間です。

先週から大学ではオンライン授業が始まりました。学生も教員もこういう形の授業には慣れていません。慣れないながらも回数を重ねるごとに、ゼミの授業が形を成しつつあります。
教員は試行錯誤の日々です。図書館が使えない状況のなか、授業で使えるような教材がネットにないか探しています。
今学期予定していた美術館見学会は中止となります。その代わりに、ネットで公開されている展覧会をいくつかピックアップしてみました。きっとみなさんの研究テーマに添うものがあるはずです。
授業の課題にすることを検討中。
たくさんリンクを貼ったので、間違っていたらごめんなさい。

国立西洋美術館の常設展
Google Arts & Cultureで公開されているものです。複数の言語がありますので、ここでは日本語のものをピックアップ。授業で紹介しました。
第1部
第2部


「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」国立西洋美術館
学芸員のトーク動画が充実しています

「シュルレアリスムと絵画展-ダリ、エルンストと日本の「シュール」」箱根・ポーラ美術館
学芸員のトーク動画が充実しています


「色彩の画家 ラウル・デュフィ展-パリジェンヌが愛したテキスタイル・デザイン」松本市美術館
展覧会会場の様子を伝える学芸員の解説動画


「ハマスホイとデンマーク絵画展」東京都美術館、山口美術館
山口県立美術館(http://yma-hammershoei.com/)がYouTubeに公開している動画3本
ハマスホイとデンマーク絵画 『王道篇』 https://youtu.be/s-ikV83FfKQ 
ハマスホイとデンマーク絵画 『自画像篇』 https://youtu.be/4nLiwJBR5mQ
ハマスホイとデンマーク絵画 『本音篇』 https://youtu.be/dMIoPJIDN9Q 
『美術手帖』の展覧会レポート

「ピーター・ドイグ展」東京国立近代美術館
期間限定で公式図録の内容を一部公開(PDFでダウンロードできます)

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」東京都現代美術館
オラファー・エリアソン講演「アートをエコロジーの視点で見直すこと 」(2019年4月23日) のダイジェスト版
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/
この展覧会はさすがに体験しないと。。。
日曜美術館(2020年4月26日放送)で取り上げられていました。(見逃し配信もあります)
https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/

今後の開催予定
忘れないように挙げておきます。
「MANGA都市TOKYO-ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」国立新美術館
マンガで卒論を書こうと思っている人へ
2019年に大英博物館でマンガ展がありましたが、これは2018年にパリで開催された展覧会
開催日程は今年の夏です。2020年7月8日(水)~9月22日(火・祝)

京都市美術館が「京都市京セラ美術館」へ
リニューアルオープンしましたが、開館は延期

自宅学習のすすめの第2弾です。
オンライン授業に向けて、方法や教材を考えているところです。
美術について勉強できるいくつかのオンラインサービスを紹介します。

①MOOC(Massive Open Online Course)
「オンラインで誰でも無償で利用できるコースを提供するサービスで、希望する修了者は有料で修了証を取得できます。世界トップクラスの大学・機関によってさまざまなコースが提供されています。」
(東京大学のHPを参照 https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/society/visit-lectures/mooc.html

グローバルMOOCとローカルMOOCがあります。2つ紹介します。
A.グローバルMOOC「Coursera」
Courseraには、MoMA(ニューヨーク近代美術館)が提供しているコースがあります。
https://www.coursera.org/moma
いくつかのコース(絵画、写真、ファッション)が設置されています。

Modern Art & Ideasのコース例
第1週 Module 1: Introduction to Modern Art & Ideas
第2週 Module 2: Places & Spaces
第3週 Module 3: Art & Identity
第4週 Module 4: Transforming Everyday Objects
第5週 Module 5: Art & Society
週ごとに、3時間を目安に、いくつかの動画を観て、ワークシートをこなして、5週間で修了です。
各週の課題をきちんと終わらせ、5000円ほど払えば、修了証明書を発行してもらえます。

B.ローカルMOOC「FUN-MOOC」
フランスの教育機関によるMOOCです。(https://www.fun-mooc.fr/
「アート」で検索すると、いくつかのコースが設置されています。
https://www.fun-mooc.fr/cours/#filter/subject/creation-arts-et-design?page=1&rpp=50
ここでは幅広い意味での「アート」なので、料理、建築、デザインなども含まれています。
美術関係では、ポンピドゥーセンターが提供する「ポップ・アート」のコースがあります。
https://www.fun-mooc.fr/courses/course-v1:centrepompidou+167001+session01/about

②美術館が提供する教育プログラム
世界的に有名な美術館のなかでも、アングロサクソン系の美術館は教育プログラムが充実しています。
MoMAとTateを紹介します。

A.MoMA(ニューヨーク近代美術館)
https://www.moma.org/magazine/articles/255
このサイトはMoMAが提供する教育プログラムです。上で紹介した「Coursera」も含まれています。
ここでとりわけ紹介したいのは、
20世紀アートを勉強したいのであれば、とてもいいウェブサイトです。ここでは時系列ではなく、テーマでアートについて学ぶことが推奨されており、さまざまな「テーマ」が設定されています。

ひとつの例を紹介します。
What Is Modern Art? 「モダン・アートとは何か?」 (https://www.moma.org/learn/moma_learning/themes/what-is-modern-art/)
都市の台頭、近代の生活、風景画、肖像画、大衆文化の5つのテーマに添って19世紀後半の芸術動向を考えます。これはとてもいい教材だと思っていて、オンライン授業の課題にするかもしれません。

B.Tate(テート/ロンドン)
https://www.tate.org.uk/
テートも充実しています。このサイトでは、
「テート・キッズ」は子供向けのサイトですが、カラフルなので視覚的に楽しめますし、動画もあります。
「オンライン・ギャラリーによる探索」は、オンラインならではの、自由な表題に基づく展示を楽しむことができます。
「テーマによるアート」では、様々なテーマ設定(旅行とアート、移住と芸術、天気とアート、女性とアート etc.)があります。これも参考になると思います。

ここで紹介した2つの美術館のYouTube
MoMAのYouTube (https://www.youtube.com/channel/UC9CswYtb5rL31CHwyVoyJvQ)
Tate のYouTube (https://www.youtube.com/user/tate)
よく似た作りです。

フランスでは、ルーヴル、オルセーのHPもチェックしましたが、MoMAやTateのような充実した教育プログラムはありませんでした。美術館の教育普及に対する力の入れ方の違いがありますね。

新型コロナウィルスの影響により、2020年度前期は対面授業のスタートが難しくなりました。すでに多くの大学がオンライン授業実施の告知をしていますが、その状況がゴールデンウィーク後も続くかもしれません。

前期の授業について、シラバスはすでに提出済みなので、大幅な変更がありませんが、それでもオンライン授業ではいろいろな制約があり、いつもの授業というわけにはいきません。学生のみなさんが不安なく大学での勉強を続けられるように、いくつかの方法を考えているところです。これを機にネットを使った授業を積極的に進められればと思います。

学生のみなさんにまずお願いしたいのは、大学からの連絡、教員からの連絡をいつも受けて返信できる状態でいてくださいということです。ゼミのみなさんには、自宅のPCとネット環境のアンケートに回答してもらったうえで、オンライン授業に向けての準備をお伝えしました。自宅での環境はそれぞれ異なります。PCやネットの調子が悪く、オンライン授業に参加できない日があるかもしれません。しかし、メールによる連絡だけは常にできるようにしておいてください。なぜかというと、今後の状況によっては、シラバスでお伝えした評価方法の変更を迫られるかもしれません。そうなると、日頃の学修が重要になってきます。

フランスではこんなニュースがありました。
コロナ:教育相「バカロレアは平常点で採点」(Ovniサイトの記事2020年4月3日より)
バカロレアとは大学入学資格試験で、進路を左右する重要な試験であることは言うまでもありません。この試験を、平常点で採点するのです。(フランス語口頭試験は後に実施)
同じようなことが、大学の評価でも起こりえます。

オンライン授業の実施は、先生だって初めてです。テレビの放送大学のようにはいきません。手際が悪く、カメラの前であたふたしているかもしれません。授業中にゼミ生全員に気を配ることができないかもしれません。予定していたことが失敗することだってあります。ただ、この冒険は、心がけしだいできっと楽しいものになります。余裕をもって、おおらかな気持ちで出席してくれると、こちらとしてはありがたいです。

最後に、みなさん、くれぐれも体調に注意し、社会を構成する市民のひとりとして責任ある行動をするように心がけましょう。

自宅で勉強するために、以下のサイトを紹介します。
①Wildensteinのカタログ・レゾネ

去年もこのブログで紹介しました。19世紀の画家を中心にしたカタログ・レゾネです。以下の画家・彫刻家の作品カタログを見ることができます。

ジャン・ベロー
エミール・ベルナール
フランソワ・ブーシェ(18世紀)
ギュスターヴ・カイユボット
シャルダン(18世紀)
ギュスターヴ・クールベ
ジャック=ルイ・ダヴィッド
フラゴナール(18世紀)
ポール・ゴーガン
テオドール・ジェリコー
ドミニク・アングル
エドゥアール・マネ
クロード・モネ
ベルト・モリゾ
カミーユ・ピサロ
オディロン・ルドン
オーギュスト・ロダン
ジョルジュ・スーラ
エドゥアール・ヴュイヤール
ヴェラスケス(スペイン)
スルバラン(スペイン)

②影山幸一「アート・アーカイブ探求」artscape(アートスケープ)
https://artscape.jp/study/art-achive/backnumber.html

artscape
美術館・アート情報満載のWebマガジンです。去年もこのブログで紹介しました。
そこに連載されている「アート・アーカイブ探究」は、美術史家の作家研究を紹介するページです。毎回、画家の一作品について、美術史の先生たちの深い考察を読むことができます。自分の研究にとってヒントになる発見があるはずです。

③ゲティ財団のヴィジュアル図書館
Getty Publications Virtual Library
http://www.getty.edu/publications/virtuallibrary/index.html
詳しいことを知りたい人はこちら
300冊以上のアートブックが自宅で読める。ゲティによる無料公開をチェック(『美術手帖』2020年3月28日掲載)

新学期が始まりますが、今年は残念ながら、いつものような集合型の授業を実施することが難しくなっています。大学ではオンライン授業の導入が進められています。

学生のみなさんは、大学に行くこと、大学の図書館に行くことも、今は制限されています。
また、首都圏の美術館は臨時休館が続いています。
前期は
ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展(国立西洋美術館)
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展(東京都現代美術館)
ロンドン・ナショナル・ギャラリーについては、2年生の「入門演習」で学びましたね。(オラファー・エリアソンも授業のある資料のなかで出てきたのですが、覚えていますか?)
今後開催スケジュールがどうなるか分かりません。

美術館に足を運ぶのが難しい状況のなかで紹介したいのが、
Google Arts & Cultureです。
https://artsandculture.google.com/
Google Chromeのブラウザーを使っている人は、「拡張機能」を設定すれば簡単にアクセスできます。
美術手帖のHPで紹介されていたので、詳しいことはこちらを読んでください。
「ゴッホもレンブラントも目の前に。Googleでアートを楽しむ方法」(『美術手帖』2020年3月29日掲載)

Google Arts & Cultureのサイトに入ると、右上に「トピック」という項目があります。
自分が卒論で取り上げようと思っている画家の作品をみてみましょう。
「トピック」ではさまざまなテーマが設定されていますので、こうしたツールを使うことにより、思わぬ発見があるかもしれません。

2019年度ゼミ生による「卒業論文」と「学年末レポート」のタイトル

4年生 卒業論文タイトル

モネとジャポニスム――ジャポニスムの発展と影響
サルバドール・ダリとガラ――画家に大きな影響を与えるモデル
日本の地方文化政策――効果的なアートマネジメントの方法論
ゴッホの自画像研究――自己の探求から得たものとは
クリムトとファム・ファタル
ゴッホとジャポニスム――浮世絵から何を学んだか
シャガールの描いた愛
ドラクロワの初期作品における革新とその独自性について
肖像画の名手ピエール=オーギュスト・ルノワールの描く子供
アントワーヌ・ヴァトーのフェート・ギャラントにおける“儚さ”の表現についての考察
ウィリアム・モリスのデザイン――壁紙の調和

3年生 学年末レポートタイトル(5000字前後)
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの人生から考察する《氷海》
レンブラントにおける光の表現について――光に込めた意味
レオナルド・ダ・ヴィンチ――巨匠はいかにして作られたのか
英国最大の風景画家――ウィリアム・ターナー
フィンセント・ファン・ゴッホ――探求し続けた色彩学
19世紀モードから見た印象派ルノワール
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ――ヴィーナスに見られる美の表現
エドガー・ドガの世界へのまなざし
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ――絵の中に隠された自然への価値観
ジョルジュ・スーラ――点描法のルーツを求めて
次世代の廃校利用可能性
西洋美術史における廃墟芸術の歴史とその魅力

3年生の学年末レポートと、4年生の卒業論文の概要をまとめて冊子にし、2019年度ゼミ活動の成果としました。

ブログ更新がご無沙汰となりました。
2019年度のゼミは、卒業論文口述試験と学年末レポート提出を最後に、1月に終了しています。
春休みの間に、東京都美術館で開催されている「ハマスホイとデンマーク絵画」展(公式HP)を観に行こうと思っていたのですが、新型コロナウイルスの影響で閉幕してしまいました。

授業で紹介できればいいなと思っている映画作品
『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』

郵便配達員が33年かけて奇想の宮殿を築いた実話をもとにしたドラマ。
リヨンを経由してバスを使って訪問することができます。。
一度訪れたいと思っています。
公式HP

『エッシャー 視覚の魔術師』
マウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898~1972)のドキュメンタリー映画
公式HP

『盗まれたカラヴァッジョ』
ガラヴァッジョ作品の盗難事件をモチーフにしたサスペンスドラマ
公式HP

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』
フィンランド映画
オークションに出品された作者不詳の肖像画をめぐって、老画商と孫息子が画家を特定する調査の乗り出す家族の物語
公式HP

『コロンバス』
インディアナ州コロンバスを舞台とした映画。ここはモダニズム建築の宝庫だそうです。ここに拠点を置くエンジンメーカーの社長が1950年代にモダニズム建築家による公共施設の建築を積極的に支援したとか。
公式HP

日時:2019年11月24日(日)14時スタート
場所:国立近代美術館

2年生の授業で展覧会に行ってきました。
授業で5つの選択肢を示し、投票によって

国立近代美術館 「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 」
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/windows/
に行ってきました。
20世紀のアートを中心に、普段の授業では紹介できない、あらゆるジャンルの作品を観るよい機会となりました。「窓」というテーマがあることによって、現代アートにもアプローチしやすかったのではないでしょうか。
個人的には、
ドアノーの写真3連作
ズビグニエフ・リプチンスキのヴィデオ作品《タンゴ》1980年
西京人《第3章:ようこそ西京に―西京入国管理局》2012年 
がおもしろかったです。
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私の好きな麗子像も「窓展」に出品されていました。
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=4760&edaban=3

展覧会:「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華 大様式の形成と変容」
開催期間:2019年10月5日~2020年1月19日

場所:東京富士美術館(八王子)
公式HP

フランスの美術史家ルネ・ユイグを回顧し、17世紀から19世紀のフランス絵画におけるアカデミーの伝統をたどる展覧会でした。
ちょうど後期の授業で、17世紀のアカデミー誕生と、1667年講演会に触れたところだったので、自分の理解を深めるためにも行ってきました。
アカデミーを代表する画家たちの秀逸な作品群が展示され、「大様式の形成と変容」を一望できるまたとない機会ですので、フランスの伝統的な絵画のことを勉強したい人にはおすすめです。
最後の部屋にフランドランのギリシアの青年像が展示されており、気分がアップしました。
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「フランス絵画の精華」は企画展で、
館蔵品展「時代を拓いた女性フォトグラファー」展
館蔵品展「エドゥアール・マネのエッチング30枚」展 パリ刊行、1905年
常設展「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」
特別展示 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《ダヴォラ・ドーリア》(《アンギアーリの戦い)の軍旗争奪場面)(複製展示)
も観ました。とても盛沢山なので、時間に余裕をもって出かけてください。
図録を授業で紹介する予定です。

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