中央大学 文学部 泉ゼミ (美術史美術館コース) ブログ

美術史美術館コースは、中央大学文学部フランス語文学文化専攻に設置されています。このブログは、日頃のゼミ活動を更新しています。

ようこそ、泉ゼミ・ブログへ。
ゼミは3、4年生で構成され、2年間で、フランスを中心とした西洋美術史、美術館や文化遺産の歴史や今日のあり方について学びます。
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このブログは、ゼミの紹介がメインです。
ゼミ活動のまとめは、上のメニューバー「ゼミについて(毎年更新)」をご覧ください。
大学のゼミってどんな活動をするの? 文学部のゼミでどういうことを学ぶの?
そういうことを知りたい方に、うちのゼミの様子をお伝えできればと思います。

日時:2021年6月4日(金)13時30分スタート
場所:SOMPO美術館
モンドリアン展、純粋な絵画を求めて
緊急事態宣言中ですが、美術館が再開されました。
2021年度は積極的に美術館に足を運ぶことを目標に、4月の授業が始まったときに3つの展覧会をピックアップしていました。そのひとつが
SOMPO美術館で開催中の「モンドリアン展」であり、会期が6月6日までということで、急いで行ってきました。
チケットは事前予約で、すでに金曜日の時点で完売状態。幸い、ゼミ生はみんな事前予約を無事に済ませ、入場することができました。
SOMPO美術館は、改修後に初めて訪れます。ゼミではすでに美術館についてとモンドリアンの発表が4月に行われ、事前勉強をしたうえでの見学です。
当日は、あいにくの雨と風です。ビル風がすさまじい勢いでした。手間に見えるのが美術館です。
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東郷青児《超現実派の散歩》1929年をモチーフにしたと言われるマーク。美術館のHPにアクセスすると必ず立ち上がります。
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もちろん館内は撮影禁止でしたが、唯一、この場所だけはOK。
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ミニチュア版の複製椅子には、子どもさんが座って記念撮影をしていました。
緊急事態宣言でこもりがちな生活の中で、モンドリアンの色彩はすがすがしい気分にさせてくれました。

中央大学の父母向け機関誌『草のみどり』2021年1月号(第323号)に泉ゼミが紹介されました。
大学からのお知らせはこちら 🔗
2020年度はずっとオンライン授業で、美術館見学は1度しか実現しませんでした。ゼミ生はオンラインで発表したわけですが、不慣れななかでも頑張ってくれました。このスキルはきっと社会に出ても役立つはずです。来年度こそ普段の学びを取り戻したいです。みんなで美術館に行きましょう。
『草のみどり』2021年1月号(第323号)


2020年度ゼミ生による「卒業論文」と「学年末レポート」のタイトル

4年生 卒業論文タイトル(カッコの中のタイトルは3年生学年末レポートの時のものです)

3年生の時のタイトルと比べると、1年間の成果が確認できると思います。

人生というテーマから見るフリードリヒ作品──込められたメッセージ
  (カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの人生から考察する《氷海》)
ルーベンスのキリスト像──《十字架降下》から見る人体表現
  (レンブラントにおける光の表現について――光に込めた意味)
コルセットからの解放(19 世紀初頭から 20 世紀)──ファッションか抑圧か 
レオナルド・ダ・ヴィンチの自然表現
  (レオナルド・ダ・ヴィンチ――巨匠はいかにして作られたのか)
J.M.W.ターナーとイタリア旅行──画風の変化における旅行の影響
  (英国最大の風景画家――ウィリアム・ターナー)
フィンセント・ファン・ゴッホの色彩──探求し続けた色彩の変化と経緯 
  (フィンセント・ファン・ゴッホ――探求し続けた色彩学)
画家ルノワールが描いた世界──19世紀モードから見る 
  (19世紀モードから見た印象派ルノワール)
ティツィアーノの「横たわる裸婦」──「横たわる裸婦」の主題と画家にとってのヴィーナス
  (ティツィアーノ・ヴェチェッリオ――ヴィーナスに見られる美の表現)
ドガの真理探究──意識と確実性
  (エドガー・ドガの世界へのまなざし)
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ──風景画 に託された思い
  (カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ――絵の中に隠された自然への価値観)
ジョルジュ・スーラと光の表現──点描法のルーツと変化の理由を求めて
  (ジョルジュ・スーラ――点描法のルーツを求めて)
次世代における廃校舎活用──美術館・文化芸術関連施設としての廃校舎の再生
  (次世代の廃校利用可能性)
魅する廃墟──美術史と災害にみる
  (西洋美術史における廃墟芸術の歴史とその魅力)

3年生 学年末レポートタイトル(5000字前後)
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》に見るジャポニスム
サルバドール・ダリについて
アンリ・マティス の室内画
ポール・ゴーガン 失われた楽園と画家の出会い
マルセル・デュシャン 
バンド・デシネの起源とマンガとの関係
ルネ・ラリック
3年生のレポートについては、画家は選んだけれど(今年度は大学図書館が自由に使えなかったので、研究対象を選ぶことで精一杯でした)、テーマについてはまだ絞れていないように思います。あと1年間でどのような問題意識が持てるかですね。

3年生の学年末レポートと、4年生の卒業論文の概要をまとめて冊子にし、2020年度ゼミ活動の成果とします。昨年度はみんなで手作り冊子を作ろうと思っていましたが、オンライン授業のためにできませんでした。来年度は4月のゼミで作ります。

今回の美術館レポートは、大学図書館が自由に使えないことから、作品についての文献を探すよりも、ディスクリプションを通して、作品をよく観ること、比較をすることをテーマにしました。
1.展覧会のなかから1作品を選びだし、ディスクリプションすること
2.その作品の特徴を主題と技法の面から明らかにするために、比較する作品を選ぶこと

学生が選んだ作品と、比較対象の作品です。
(所蔵の記載がないのは、石橋財団アーティゾン美術館です)
・ポール・ゴーガン 《馬の頭部のある静物》1886 年
   ポール・シニャック《コンカルノー港》1925年

・ポール・シニャック《コンカルノー港》1925年
   髙島野十郎《ベニスの昼》1930-33年頃

・メアリー・カサット《日光浴(俗後)》 1901年
   ルノワール《ガブリエルとジャン》1895年‐1896年(オランジュリー美術館)

・メアリー・カサット《娘に読み聞かせるオーガスタ》1910年
   ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》1872年

・クロード・モネ 《黄昏、ヴェネツィア》1908年頃
   ルノワール《ナポリの入江、夕刻》1881年(クラーク美術館?)

・カミーユ・ピサロ《菜園》1878年
   ルノワール《カーニュのテラス》1905年

・ギュスターヴ・カイユボット 《ピアノを弾く若い男》 1876年
   ルノワール《ピアノを弾く二人の少女》1892年(オルセー美術館)

このレポートをもとに、オンラインによる個人面談をしました。自分がどこを見落としていたか、そう見える根拠はなにか、分かってくれましたか?

日時:2020年11月17日(火)11時スタート
場所:アーティゾン美術館
3年生だけの見学会です。前期の美術館見学会は開催できませんでした。後期は大学に申請をして許可をとれば見学会は可能ということで、数名で行ってきました。
今年は11月中旬でもとても暖かいです。気持ち良い秋晴れでした。場所は東京駅八重洲口から歩いて数分。立派なビルが見えてきました。
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「アーティゾン美術館」はガラス張りになっている1~6階まで。建物については、小さな冊子が用意されていました。訪れた際に気づいてほしい、建物の注目ポイントが20枚のイラストで分かりやすく表現されています。次はこれを携えて行きたいです。
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美術館の前で待ち合わせ。今日は暖かいので学生たちは外で待っていました。
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今日はこれを見学します。
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先週のゼミで事前学習として、展覧会サイトと作品リストをチェックし、各自が注目する西洋絵画5枚について「見どころ」をまとめてもらいました。さらに見学後も課題を与えています。
「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」展覧会のHP  🔗
出品作品リスト
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今回の展覧会では国宝が出展されるということで、楽しみにしていました。前半は宗達の墨画、後半は宗達の屏風《風神雷神図》(チラシのイラストになっています)です。やはり後半のほうが人が多くなるかもしれません。

コロナ禍にあって、ヒトやモノの行き来が制限されるなかで、美術館は自前のコレクションの重要性とその活用を改めて認識するという動きがあるようです。作品リストを見ると、今回の展覧会での印象派のほとんどが「石橋財団アーティゾン美術館」所蔵でした。同じ作品でも、テーマ設定や他の作品との組み合わせ方によって、新しい見かたができ、新しい魅力がうまれることを教えてくれた展覧会でした。
「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」展(6~5階)の後は、4階の「石橋財団コレクション選」「久留米をめぐる画家たち」へと続きます。印象派の後の20世紀を中心とした西洋絵画の充実したコレクション、そして石橋財団の創設者・石橋正二郎の作品収集の歴史を物語る画家たちの作品が展示されていました。

展覧会を終えると、4階に「インフォルーム」という部屋があります。ここは情報閲覧のコーナーですが、そこに次のようなリーフレットが置いていました。美術批評家テオドール・デュレの紹介です。ルームには彼の著作物も展示されていました。学生たちにはぜひこのリーフレットを持ち帰ってほしいと思い、見学者分を拝借。私を待っていた学生たちはこのリーフレットの存在に気づいていなかったようで、デュレは今回の展覧会にとって重要な人なんですと、授業のような説明でもって見学会は終了しました。
1年ぶりに開催できた展覧会、学生たちにもよい機会になったと思います。
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アーティゾン美術館は、学生証があれば無料で入館できます。また美術館アプリもありますので、ダウンロードしていくといいでしょう。音声解説などが入っています。

授業発表や卒論執筆のために、ブログでこれまで紹介した「美術関連情報」のまとめです。
2020年度からゼミ生への情報発信は、ゼミのSNSに移行しています。

都内の美術館ライブラリーで資料を探す  🔗

世界のオンライン授業で学ぶ 🔗

ネットで情報を探す
・Google Arts & Culture 🔗
・ウィルデンスタインのカタログ・レゾネ 🔗1 🔗2
・ゲティ財団のヴィジュアル図書館 🔗

・「クセジュ文庫」(大学図書館のデータベース) 🔗

・パリのサロンの歴史 🔗
・artscapeによる「アート・アーカイブ」探求 🔗1 🔗2
・『美術手帖』によるシリーズ:「これからの美術館を考える」 全11回  🔗

芸術家や美術館の映画をいくつか紹介します。

1.『ある画家の数奇な運命』
芸術家ゲルハルト・リヒターの半生がモデルとなっている映画です。
公式HP
リヒターというと、最近こういうドキュメンタリーもありました。

2.『プラド美術館 驚異のコレクション』
ヨーロッパの大美術館の映画がまたまた出ました。
俳優ジェレミー・アイアンズがナビゲーターだということ。最近では、ボルジア家のロドリーゴ役が印象深いです。
公式HP

研究室に入ったDVDでは、
3.『フランコフォニア ルーヴルの記憶』

4.『メットガラ』
面白かったので、入れてもいいかもしれません。

先日は、都内の美術館の展覧会情報をアップしました。今日はマンガ展を紹介します。

マンガ展
国立新美術館(六本木)
「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」
2020年8月11日(水)~11月3日(火)
公式HP  https://manga-toshi-tokyo.jp/
展覧会の構成
イントロ. 1/1000巨大東京都市模型
セクション1. 破壊と復興の反復
セクション2. 東京の日常
セクション3. キャラクターvs.都市
検索すると、この展覧会を紹介する記事が出てきますので、参考にしてください。
マンガ展では、大英博物館の「Manga」展(2019年5月23日~8月26日)が記憶に新しいですね。

マンガと小説
備忘録として、2020年度マンガ大賞https://www.mangataisho.com/)を受賞したのは、
藝大受験を描いたマンガですが、今後、どのように展開していくのか、楽しみですね。

もう1冊、紹介します。
美術界隈で話題になっている小説です。

会田誠と山口つばさ、両氏の対談は、こちらの「文春オンライン」で読めます。
https://bunshun.jp/articles/-/39611?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=socialLink

2020年はオリンピック・イヤーで日本アートを紹介する充実した展覧会が企画されています。
会期が変更され、現在開催中の展覧会を挙げておきます。
美術展に足を運びたいのはやまやまですが、コロナの状況をよく把握する必要があります。行くときは、感染予防の対策はしっかりと、各自の判断に任せます。
これだけいい展覧会が目白押しだと、本当に行きたくなります。

西洋美術
国立西洋美術館(上野)
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
2020年6月18日(木)~10月18日(日)
→6月下旬に行きましたが、本当に傑作ばかりで圧倒されました。

アーティゾン美術館
石橋財団コレクション選 特集コーナー展示
「印象派の女性画家たち」
2020年6月23日(火)~ 10月25日(日)
→アーティゾン美術館はゼミで行きたいのですが、、、今年は無理かもしれません。

日本美術
国立新美術館(六本木)
「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」
2020年6月24日(水)~8月24日(月)
→友人がすすめてくれました。

東京国立博物館/ 平成館 特別展示室  (上野)
特別展「きもの KIMONO」  
2020年6月30日(火) ~ 2020年8月23日(日)
→これも友人がすすめてくれました。

現代アート
東京都現代美術館(木場)
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
2020年6月9日(火)~9月27日(日)

森美術館(六本木)
「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」
2020年7月31日(金)~ 2021年1月3日(日)
→日本を代表する6名のアーティストの展覧会です。とても充実した内容だったと友人が言っていました。

第7回展ヨコハマトリエンナーレ2020(横浜)
「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」
2020年7月17日(金)~10月11日(日)

2020年度前期の授業はオンライン授業(4月下旬~7月中旬、計12回)が実施されました。

ゼミのオンライン授業
泉ゼミでは、ゼミ生がWebexの使い方をマスターする時間を設け、4月上旬から授業をスタートしました。当初は教員も学生も顔を出していましたが、大学からデータ・ダイエットの協力が通知され、5月の連休明けは、お互い顔出しなしの授業となりました。

ゼミの授業内容
泉ゼミでは、都内の美術館で開催されている企画展を題材に、3年生が発表をします。
展覧会の見学の前には事前学習をして、見学した後はさらに理解を深めていきます。
2020年前期は、国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を予定していました。
公式HPはこちら、https://artexhibition.jp/london2020/

①3年生
ゼミの見学会は中止せざるを得ない状況となり、
今年度は国立西洋美術館の常設展を以下のHPと本を使って、3年生が発表をしました。
・国立西洋美術館の公式HP https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
・Googole Arts https://artsandculture.google.com/partner/the-national-museum-of-western-art
・渡辺 晋輔、陳岡 めぐみ『国立西洋美術館 名画の見かた』集英社、2020年。
②4年生
泉ゼミでは9月に夏合宿が恒例行事となっています。昨年度に続き、今年度も予定していましたが、中止です。新年度のコンパも開催できず、ゼミ生が集まることができるのはWebexのオンラインだけで、とても残念です。
夏合宿では、4年生は卒論発表(20分)、3年生は卒論のための準備発表(10~15分)をします。
今年度は、4年生の卒論発表を前倒しで前期に行うことにし、6月から7月にかけて、13名が発表をしました。発表の1か月ほど前に個別にオンライン面談をし、卒論に向けてのテーマを絞り、読むべき本が指示されました。

「カスパー・ダーヴィット・フリードリヒ《人生の諸段階》7枚の連作について」
「ルーベンスの《十字架降架》におけるキリストの人体表現」
「レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画表現における学問の影響」
「ターナーとイタリア—旅行が与えた影響—  」
「フィンセント・ファン・ゴッホ 探求し続けた色彩」
「19世紀モードから見た印象派ルノワール」
「ティツィアーノにとってのヴィーナスと美の表現方法」
「エドガー・ドガの世界へのまなざし」
「カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの作品における愛国主義と自然へのまなざし」
「ジョルジュ・スーラ 点描法のルーツと主題変遷の理由を求めて」
「次世代の廃校利用可能性」
「廃墟芸術の歴史と魅力」
「コルセットからの解放とフェミニズム」

大学の図書館が使えないなか、みなさん、なんとか発表を終えました。この状況下でも、卒論に向けて前進しているので、よかったです。
後期は3年生の発表から始まります。

後期の授業が終了し、コロナの流行が落ち着けば、春休みにゼミ旅行を考えたいと思っていますが、こればっかりはどうなるか分かりません。
4年生は就職活動と卒論執筆の両立で大変ですが、卒論のほうはサポートしますので、なんとか乗り切ってください。
後期のゼミでは、4年生は卒論の原稿をみんなでチェックする作業をします。3年生は学術的な論文を使って19世紀フランス絵画について学びます。

それでは、みなさん、よい夏休みを。

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